この記事は「クソじゃないアニメ Advent Calendar 2018」の17日目です。
昨日ははちみつさんでした。
はじめに
このカレンダーの存在を知ったとき、大変すばらしい企画だと感じました。僕は勝手に「読む側としては『(自分が)なんとなく見なかったけど実はおもしろいアニメ』をいろんな人が主観込みで語ってくれたらメチャクチャありがたいな〜」などと思っていました。
初めはこんなおもしろそうな企画ならすぐ埋まるだろうな、と考えていたのですが、なぜか(?)中々枠が埋まらない様子だったため参加してみることにしました。
「クソじゃないアニメ」を探す
「クソじゃないアニメ」について書くには「クソじゃないアニメ」を探す必要があります。
では、「クソじゃないアニメ」とは一体何でしょうか?カレンダーの説明文を見ながら考えてみます。
自分はとても好きなアニメなのに、円盤の売り上げが……ネットでの評判が……そもそも誰も見ていない……
そういった(一部で)クソアニメと言われているアニメでも、よく見れば面白いものはたくさんあります。
ポイント1 : 自分は好き
別に好きでもない作品についてわざわざ労力を割いて語りたいと思う人はいませんよね。
もし、「自分はこの作品が嫌いなのにその話がしたくて仕方がない」なんてことがあったら、それはきっと過去に期待を抱いていたが故に「裏切られ」たと感じているのかもしれませんね。「好」ではないのかもしれませんが、少なくとも、どうでもいい存在ではない。
ポイント2 : 商業的には成功と言い難い
特にそういった決まりがあるわけではないものの、多くの方が大衆の目に触れるTV/劇場アニメーションについて書いています。これらは結局のところ商業作品ですから、例えば「円盤の売り上げが悪い」という事実も十分に考慮に値します。売り上げは本質じゃない?そう思った貴方こそが「クソじゃないアニメ Advent Calendar」に参加すべき人間なのです。
ポイント3 : 「ネット民」の評判が賛美一色ではない
個人的には未だに「ネット民」という概念について大衆に合意があるとは思えないのですが、最近はちょっとしっかりめのネットニュースなんかでもよく目にするようになりました。
前の文と矛盾するようでアレですが、これを読んでいるみなさんには合意があるものとします。まあ大体言いたいことはわかるよね。
人は他人の意見を見聞きして勝手に安心したり、勝手に反感を持つ生き物です。抽象的な話ではなく、現に目に見える形でネット上に転がっている意見で大勢を占める方向性というものは間違いなく存在します。
ポイント4 : 誰も見てない
言い忘れていましたが、僕はこのカレンダーのことをMastodonで主宰のておりあさんのトゥートを見て知りました。そんなMastodonでは(もしかしたらMastodonではないかもしれないけど)ちょっと前「『全ての人』の解釈」で騒ぎがありましたね。もちろん、ここでは「地球上の誰一人として見ていない」という意味ではありません。貴方が見ていますから。
はっきり言って
ポイント2〜4をいくつかずつ満たすだけのアニメならごまんと存在します。そう、「クソじゃないアニメ」を「クソじゃないアニメ」たらしめるのはポイント1、つまり「自分は好きなんだけどね……」という気持ちにほかなりません。
そんなわけで、1を守りつつ2〜4のいづれかに該当するようなアニメを考えました。
結論
わかんねェ……
そんなアニメ、ありますか?
でも現にみんな記事書いてるしな。
うーん……
そもそも文句無しにおもしろかったらクソでもなんでもない。
それじゃ「アニメ Advent Calendar 2018」だ。
でもケチのつけ所がありすぎる作品を人に薦めたくはない。
「好き」は「クソじゃない」ことの十分条件たり得るのか?
わからない。
わからないので、とりあえず魔法科高校の劣等生の話をします。
え?
とりあえず魔法科高校の劣等生の話をします
『魔法科高校の劣等生』(まほうかこうこうのれっとうせい、The Irregular at Magic High School)は、佐島勤による日本のライトノベル。原作小説の出版は電撃文庫からで、担当編集は三木一馬。イラストはキャラクター担当の石田可奈の他、メカニックデザインをジミー・ストーン、カラーコーディネートを末永康子が担当する。公式略称は「魔法科」。シリーズ累計発行部数は2018年11月の時点で920万部。
アニメ『魔法科高校の劣等生』は、なろう初・電撃文庫刊行の同名ライトノベルのアニメーション作品です。現在、TVシリーズ26話と新規劇場版1作が公開されています。
原作小説は27+1冊刊行されており、もうじき完結しそうな感じです。ちなみにTVシリーズでアニメ化されたのは1〜8巻に相当する部分。
舞台は近未来の日本。この世界とは少し歴史が違い、人の持つ「魔法」と呼ばれる超能力が公に認識され、科学に基いて発展した世界の物語です。
内容としては主人公・司波達也(CV.中村悠一)とその妹・深雪(CV.早見沙織)を中心に、「魔法師」を育成する「魔法科高校」に通う少年少女が日常をやったりドンパチをやったりするSFバトルアクションものです。
もっと知りたい人は大百科を見てね。
映像・音楽
ベースには学園設定があるので、日常パートとアクションパートが入り交じるあるある構成です。
日常パートについては、元々原作の文体(特に「間」の取り方や空気感の描写)に癖があるのですが、よく言えばそれらを上手く表現している、悪く言えば少し間延びしていると感じるかもしれません。
戦闘パートについては、特に動画が素晴しい。作画は飛び抜けて優れているわけではありませんが、動きのあるシーンでもほとんど崩れることがないので純粋に内容を楽しめます。
音楽を『天元突破グレンラガン』『ソウルイーター』『刀語』『ヨルムンガンド』なども手がけた岩崎琢氏が担当しているのもポイントですね。やたらスタイリッシュです。
OP1はLiSAの『Rising Hope』です。作曲がUNISON SQUARE GARDENの田淵智也、編曲がkemu堀江翔太と、「ぼくのかんがえたさいきょうのあにそん」みてえな曲です。僕はCD3枚買いました。映像もサビからのノンバンクで動きまくります。
で、どこが「クソじゃないアニメ」なの?
ここまでに書かれた内容を見ると、うん、まあ良さそう。
細かい好き嫌いは見てみないとわからないけど、どこに「クソじゃないアニメ」要素があるんだろう。
そう思います。
でも。
そうなんです。
この作品こそが、ご存知「お兄様」なんです。
「お兄様って?」「ああ!」
そうなんです。このアニメには「クソじゃないアニメ Advent Calendar」に載るべきれっきとした理由があるのです。
それがこちら。
いちいちリンク先なんか飛んでられっか!という方、わかります。
わかりやすさ重視で、誤解を恐れずに簡潔に説明します。
『魔法科高校の劣等生』とは主人公・達也のことを示しています。というのも、達也はある事情で一般的な魔法がまともに使えず、高校でも「二科」という立場に甘んじています。ですがこのお話は、ガチのテロリストと殺し合いをしたり、核を超える破壊力で中◯軍を基地ごと消滅させたりするのがメインなので、実は学校の成績はわりとどうでもいいです。達也は一般的な魔法と引き換えに不死身の再生能力となんでもバラバラにする能力を得ているので、当然テロリストなど敵ではありません。また学力面はそもそも元から首席レベルによろしく、クールでイケメンです。一体こいつのどこが「劣等生」なんだ?
というのがよくなされるツッコミです。
でもこれはあくまで前段。
そんなお兄様を妹・深雪は過度に慕っており、ことあるごとに「さすがはお兄様です」とお兄様を賞賛します。これがいわゆるさすおにです。さらにこの妹、お兄様への愛が強すぎるがためにお兄様にケチをつけるような人間を絶対に許しません。妹はお兄様の二大チートのぶんのスペックを全て通常の魔法に向けた超絶天才魔法師なので、妹が怖い取り巻きたちも倣ってお兄様を賞賛しはじめます。
そんなわけで、「『劣等生』でありながら全然弱点がないお兄様」と「極度のブラコン妹となかまたちによるお兄様礼賛」という二つの要素によって、『魔法科高校の劣等生』はネット上で攻撃されています。
「クソじゃないアニメ」要件に立ち返れば、ちょうど「3」に該当することになります。
反論
長くなりすぎて気力がなくなってきました。
とりあえず前段でこれでもかとdisったものの、僕はぶっちゃけどれも問題ではないと思っています。
そもそも、お兄様礼賛の大半はお兄様が超人的な頭脳・戦闘能力を持っていることによるもので、実際のところ登場人物たちが礼賛するのは自然なことなんです。お兄様が強すぎるのが悪い。
どんな作品だって大なり小なりそうでしょう。程度の問題はありますが、それは世界観と設定という土台からの相対的な尺度で見るべきものです。その点、この作品は(作者が往年のスペースオペラファンを自称するだけあり)ちょっと嫌になるほど設定が作られているので、それほど不自然にはなりません。
とまあ原作については置いておいて、今度はアニメとして問題があるかを考えます。
まず、これを見てください。
...
...
わざとですよね。
そうなんです。
この『魔法科高校の劣等生』、実はシュールギャグアニメだったんです。
......というのは冗談にしても、要はオタクお得意のメタ思考でネタ込みで楽しむべき作品だということです。
元々「俺TUEEEEE」(とは主人公は言いませんが)に分類される内容であること、前述のように日常パートの空気感がかなり独特であること、そこにネタが合わさったことによって過剰に燃焼した、というのが実際のところなのではないかと思います。
(カメラ目線で視聴者の完走を労うお兄様)
最後に
こんなクソ記事読んでる時間があったらさっさと寝ろってお兄様も言ってる
明日は栞太郎です。よろしくお願いします。